そもそも一般廃棄物にせよ産業廃棄物にせよ、収集運搬基準では廃棄物の保管は原則として禁止されています。しかし積替え保管だけが認められているのです。

産業廃棄物の積替え保管の基準は、以下のようになっています。

① 運搬先が定められていること。

② 適切に保管できる量であること。

1日平均排出量の7倍以内であること。

③ 性状に変化のないうちに搬出すること。

また、保管場所については、次のような措置を講じることとなっています。

① 周囲に囲いをすること。

② 積替えのための保管場所の表示版を掲示すること。

③ 保管に必要な措置を講じること

・飛散、流出、地下浸透、悪臭防止・・・必要な措置

・汚水対策・・・必要な排水溝等の設置、底面不浸透性材料を用いる

・屋外最大積上げ高さ制限

また、建設工事現場以外の場所(300㎡以上)で建設工事から出る産業廃棄物を保管する場合は、事前に都道府県知事に届出が必要となっています。ただし、非常災害などやむを得ない場合は、保管をした日から14日以内の届出となっています。

保管の期間

産業廃棄物を収集運搬する過程で、これを一定期間留め置く行為は産業廃棄物の保管に当たりますが、では、どの程度の期間留め置くと産業廃棄物の保管になるのかというと、

まず、産業廃棄物を収集運搬してきた車両から次の車両への積替え、運搬が連続して行われない限り保管を伴っていることになります。ですので、処分先の受入れ終了時刻が過ぎていて搬入するのを諦めて、一旦自社に持ち帰って翌日改めて処分先に搬入することも保管に当たります。

要するに、産業廃棄物が排出されそれを収集し、処分先まで直接運搬しないかぎり保管を伴ったことになるのです。

積替え保管とは

積替保管とは、集荷した廃棄物を、別の車に積み替えて出荷するまでの間、一時保管することをいいます。この積替保管の許可は単独では取得できません。収集運搬業許可に付随するかたちで許可されます。

産業廃棄物収集運搬業には、積替保管をする場合と、しない場合があります。

この積替保管とは何なのかというと、工事現場などで出た産業廃棄物を処分場に運ぶまでに、一時的に保管し、積み替えて持って行くことをいいます。

ですので、この積替え保管施設には、一時的にせよ産業廃棄物が集積されるので、周囲の環境を害さないように細かな基準が設けられているのです。

そして、この積替保管施設ありの許可を取る場合、一番問題なのは、その施設の周辺区域の関係住民に説明し合意を得なければならないことです。

この合意が得られないと許可申請ができないのです。

おそらく想像がつくと思いますが、いま住民の生活環境に対する意識は高くなっていますし、住民パワーも強くなっています。合意形成までに手間と時間と労力を要することを覚悟しておかなければなりません。

積替保管施設の保管基準

積替保管を行う施設のことを「積替保管施設」といいます。積替保管施設の保管基準は、廃棄物の一般的な保管基準に加えて、次のような保管基準が定められています。

  • 積替を行った後の運搬先があらかじめ決められていること
  • 搬入された産業廃棄物の量が、積替場所において適切に保管できる量を超えないこと
  • 搬入された産業廃棄物の性状が変化しないうちに搬出すること
  • 積替保管量の上限は、平均搬出量の7日分を超えないこと

積替保管施設での保管

積替え保管施設に持ち込まれた産業廃棄物は、一般的には手選別の後、一時保管されます。なぜなら、さまざまな排出事業者の廃棄物が混ざってしまい、排出時とは形を変えてしまうおそれがあるからです。

また、積替保管施設では廃棄物の選別のほか有価物の抜き取りが可能です。実際、有価物の抜き取りが行われると、積替保管施設に搬入される廃棄物の量と、積替保管施設から搬出される廃棄物の量は違ってきます。

そうなると、廃棄物の発生から最終処分に至る一連の工程の把握が極めて困難になります。この点において、積替保管施設は排出事業者にとっては取扱いが難しい施設です。

ともあれ、産業廃棄物の再資源化を促進するためには、廃棄物の広域移動化は欠かせませんし、物流効率化の点でも積替保管施設は有用な施設といえます。

建設廃棄物の保管

建設廃棄物の保管を行う場合には、守らなければならないルールがいろいろあります。

1.積替え・保管施設は、廃棄物処理法に定める基準に適合するものであること。

これは大前提ですね。廃棄物処理法に定める基準には、

  • 運搬されるまでの「保管基準」
  • 収集・運搬の基準
  • 処理の基準
  • 処理委託の基準

などがありますが、これらについては鳥取県が作成している次のパンフレットがわかりやすいので参照してください。

産業廃棄物の適正な処理について(排出事業者用)

 

2.収集運搬業者が積替え・保管を行う場合は、廃棄物処理法に定める処理基準及び委託基準に従うほか、以下によること。

① 廃棄物の性状を変える行為を原則として行ってはならない。

② 廃棄物を積替え・保管施設へ搬入・搬出する都度、原則として計量を行う。

③ 積替え・保管施設から建設混合廃棄物を搬出する場合、排出事業者との委託契約書に基づき中間処理施設又は管理型最終処分場に運搬する。

④ 積替え・保管施設ごとに帳簿を備え、必要事項の記載・保存しなければならない。

 

3.排出事業者は、建設廃棄物を作業所(現場)外で保管する場合、分別した廃棄物の種類ごとに保管するほか、300平方メートル以上の場所で保管するときは、あらかじめ都道府県知事等に届け出ること。

ただし、これには例外があります。それは、都道府県知事等がその保管場所をすでに把握している場合です。

それは、

  • 産業廃棄物処理業又は特別管理産業廃棄物処理業の許可を得て行われる事業の用に供される施設で保管する場合
  • 都道府県知事等の許可を受けて設置した産業廃棄物処理施設において保管する場合
  • ポリ塩化ビフェニル廃棄物を保管する場合

以上のような場合には届け出る必要がありません。

また、非常災害のために必要な応急措置として産業廃棄物の保管をした場合には、保管をした日から14日以内に都道府県知事へ届け出ればよいことになっています。

また、建設廃棄物を作業所(現場)外で保管する場合には、分別した廃棄物の種類ごとに保管しなければならないということがあります。

そしてこの場合は運搬に伴う保管ですので、積替えのための保管基準が適用されます。

住民との合意形成が不可欠

産業廃棄物収集運搬の積替え保管施設を設置する際には、周辺区域(施設の敷地境界から50m以内の区域)の関係住民の合意形成が得られないと、許可申請の手続きができません。

では、この合意形成の手続きはどうすればよいのかというと、鳥取県の場合、「鳥取県廃棄物処理施設の設置に係る手続きの適正化及び紛争の予防、調整等に関する条例」で定めています。

具体的にはこちらの手引きを参照してください。

手続きの手引き