廃棄物処理法では、排出事業者が自らの責任において産業廃棄物を適正に処理することと定めており、その処理を他人に委託する場合には、収集運搬業者または処分業者等に委託しなければなりません。

なお、この際に、委託しようとする産業廃棄物の処理が、委託業者の事業の範囲に含まれているかどうか確認しなければいけません。この確認は、具体的には業者の許可証の以下の項目を見て確認します。

なお、収集運搬業者も逆に委託を受けようとする処理が許可の範囲内かどうか確認する必要があります。

許可証の確認項目

  • 業の区分
  • 許可期限及び条件
  • 産業廃棄物の種類・積替え又は保管の有無(収集運搬業のみ)
  • 発生地と処分地の都道府県知事等の許可(収集運搬業のみ)
  • 産業廃棄物の種類・処分の方法・施設の能力(処分業のみ)

このほか、処分業者について、実地調査や写真等により施設の状況を確認します。

委託処理の基準

委託する際には、法令で以下のような「委託基準」が定められていて守らなければなりません。

  1. 産業廃棄物処理業の許可を持つ業者に委託すること
  2. 許可の範囲内で委託すること
  3. 処理の状況を確認すること
  4. 処理委託契約書を作成、締結すること
  5. 契約書は、契約終了の日から5年間保存すること
  6. 特別管理産業廃棄物を委託する場合は、あらかじめ種類、数量、性状その他必要事項を委託先業者に文書で通知すること

あなたの会社が産業廃棄物の処理を委託された場合、その排出事業者は以上のことを守らなければいけませんので、あなたの会社が許可を持っているかどうか、その許可の内容について確認してくることになります。

処理業の許可を要しない業者に委託する場合

排出事業者は、処理業の許可を必要としない業者に委託する場合でも、廃棄物処理法に定める委託基準を守らなければいけません。例えば以下のような場合です。

1.古紙、くず鉄、空きビン類、古繊維の再生専門業者に委託する場合

2.都道府県知事等が再生利用指定を行った業者に当該廃棄物の再生を委託する場合。(再生利用指定には一般指定と個別指定があります。)

3.広域的に処理することが適当であるとして環境大臣の認定を受けた製造事業者等に当該廃棄物の再生を委託する場合

4.一定の廃棄物の再生利用について、その内容が生活環境の保全上支障がない等の一定の基準に適合しているとして、環境大臣の認定を受けた者に当該廃棄物の再生を委託する場合。(これは、例えば河川法第6条第2項に規定する高規格堤防の築堤材として使用する建設汚泥などが該当します。)

再委託する場合

委託を受けた処理業者は、産業廃棄物の処理を他人に委託する場合には、排出事業者が書面により承諾しなければなりません。

このとき、再委託しようとする処理業者は、排出事業者に対して再委託者の氏名又は名称及び当該再委託が委託基準に適合する旨を明らかにし、排出事業者の書面による承諾を受けなければなりません。

排出事業者が収集運搬業者および処分業者と委託契約を結ぶときには、書面で行わなければなりません。口約束ではだめということです。

委託契約書には以下の事項を記載する必要があります。

委託契約書の契約条項

1.廃棄物の種類・数量

2.処理業者の事業の範囲

3.運搬の最終目的地の所在地(収集運搬の委託)

4.処分(または再生)場所の所在地、その方法及び施設の処理能力(処分の委託)

5.最終処分の場所の所在地、その方法及び施設の処理能力(中間処理の委託)

6.適正な処理のために必要な下記の情報の提供に関する事項

  • 当該産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項
  • 通常の保管状況の下での腐敗、揮発等当該産業廃棄物の性状の変化に関する事項
  • 他の廃棄物との混合等により生ずる支障に関する事項
  • その他当該産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項

7.業務終了時の処理業者から排出事業者への報告に関する事項

8.委託契約を解除した場合の処理されない廃棄物の取扱いに関する事項

9.収集運搬業者と処分業者が異なる場合、それぞれ相手の氏名または名称

10.積替え・保管施設経由の有無と施設所在地、保管できる廃棄物の種類(収集運搬業の委託)

11.安定型産業廃棄物を委託する場合、積替え・保管施設において他の廃棄物と混合することの許否等に関する事項(収集運搬で積替え・保管施設を経由する場合の委託)

12.委託者が受託者に支払う料金

13.委託契約の有効期間

14.積替え・保管施設を経由する場合、、有価物回収の有無とその種類

15.積替え・保管施設を経由する場合、区画の設定方法

16.支払方法

17.契約に違反した場合の措置

18.積替え・保管施設を経由する場合、廃棄物の手選別等の許否

※9については、別途文書で通知も可能。

※14については、積替え・保管施設を経由する場合、排出事業者は必要となる情報の提供を収集運搬業者に求めることが望ましい。

以上のような事項を委託契約書に記載し、さらに委託契約書には、収集運搬業者及び処分業者の委託契約書の写しを添付しなければなりません。