中小零細の建設業の経営者に方にとって、ご自分がつくりあげてきた組織や財産を後継者にどのように引き継がせていくかは重要な問題だと思います。

特に、経営者が亡くなり、相続が発生したときには数々の問題が起きますので、トラブルが起きないように事前に事業承継をふまえた相続対策を準備しておくことが必要です。

まず事業承継のかたちですが、次のようなパターンがあります。

① 自らは代表者から退き、後継者を代表者とする

② 子会社、関連会社を設立し、後継者にその経営を任せる。

③ 後継者に会社を任せ、自らは退いて子会社、関連会社の経営を行う

以上のパターンに共通しているのは、「株の所有権」と「経営権」という経営者の持っている大きな権利の譲渡です。

つまり、中小企業の事業承継は、ひと言でいえば、経営者ひとりに集められた権利の譲渡、あるいは分配といえます。

ここで大切なことは、組織を改編することで築き上げた財産に影響が出ないようにすることです。

そのためにはまず、株式の価値を確かめることです。直前の決算ないしは直近の月次貸借対照表によって計算された「自己資本」を持株数で割ることで株の価格が簡単に算出できます。

利益が出ている会社なら、株式が何倍かになっているはずです。また、より厳密に計算するのであれば、税務署で「路線価」を調査し、土地や建物などの含み資産を把握したり、税務署の窓口に相談すれば良いでしょう。

このように、株式の現状の価値をよく把握しておくことは、相続税対策として株式の譲渡を生前に贈与した方がいいのか、相続時に行った方が有利かを判断する目安となります。これは事業承継の重要なポイントです。

また、財産を経営者が亡くなるまでに後継者にすべて譲渡し終えることは難しいと思います。そのため、ご自分の意思を遺すためにも、また亡くなった後相続の争いが発生しないように「遺言書」を作成しておくべきです。

遺言書は、自分で書く「自筆証書遺言」より公証役場で公証人に作成してもらう「公正証書遺言」がおすすめです。なぜなら相続開始後に家庭裁判所で遺言書の検認手続きをしないですむからです。そのまま、遺言の内容を執行することができます。

この公正証書遺言の作成についても、当事務所に依頼していただければ手続きを行うことができます。参考になさってください。

全国相続協会相続支援センター鳥取中央相談室