産業廃棄物の収集・運搬とは、排出者の保管場所から産業廃棄物を収集して、処分を行う場所まで運搬することをいいますが、この途中で積替保管施設に一時的に保管する場合もあります。そしてこの収集・運搬を業(仕事)として行うことを収集・運搬業といいます。

排出者が自ら収集・運搬を行う場合には許可は不要ですが、他者から委託を受けて行う場合には許可が必要です。このことは基本ですので押さえておいてくださいね。ただし、一般廃棄物の場合は市町村から委託を受けて行う場合は許可は不要ですので、これも注意してください。

また一般廃棄物は域内処理が原則ですので、他市町村への運搬は基本的にはありませんが、産業廃棄物の場合は広域移動による処理が前提となるために、都道府県をまたいで業を営もうとする場合には、荷積み地と荷卸し地双方の都道府県の産業廃棄物収集・運搬業の許可が必要となります。

運送業の許可も必要?

収集運搬業許可では廃棄物の収集と運搬がセットになっていて、運送業の許可がなくても廃棄物の運搬が認められています。

このため収集を伴わない運搬や有価物の運搬には、収集運搬業許可のほかに原則として運送業許可が必要になりますので、この点注意が必要です。

ここでいう運送業の許可とは一般貨物自動車運送事業経営許可などです。また有価物であるかどうかは、一般的に処分費用を必要としないものは廃棄物ではなく有価物とされています。

また、その判断する基準として“売却金額から運搬費用を差し引いたときに、排出事業者側に利益があるかどうか”が、大きな目安となっています。つまり、有価物とは、売却代金と運搬費を相殺しても、なお排出者側にプラスになることが必要です。

産業廃棄物収集運搬業をするには

建設業をする場合、建設業許可とともに取っておくべきなのが「産業廃棄物収集運搬業」の許可です。

建設工事をすると、それにともなって必然的に建設廃材などの産業廃棄物が出ますよね。これを集めて処分場まで持って行くのにも許可がいるのです。勝手に持って行くというわけにはいかないのです。

しかし、ここで注意しなければならないのは、施主から直接工事を請け負った建設業者(元請負)が収集運搬を自ら行う場合には、元請業者は排出事業者となりますので許可は不要です。

一方、元請業者から廃棄物の収集運搬を委託された下請、孫請業者は、処理業者として許可が必要になるのです。ココ注意してくださいね。

ですので、解体工事業や下水道工事業を行っている業者さんは、建設業許可と産業廃棄物収集運搬業許可のいずれも取得しておく必要があるのです。

ところで、この収集運搬業の許可には、直接処分場に持って行く場合と、保管場所を設けてそこに一旦積み卸し、一定量が溜まってから積み替えて処分場まで持って行く”積み替え保管”という場合があります。

この場合、当然のことながら、積み替え保管の方が許可の条件が多くなります。