風俗営業の許可を取得するには、大きく分けて次の3つの基準を満たさなければなりません。

  1. 営業者に関する基準
  2. 営業所の構造および設備に関する基準
  3. 営業所の場所に関する基準

1については、欠格条項に違反していないかどうかなので自分でわかります。

2の「営業所の構造および設備」については、改修することによって許可取得が可能になります。

しかし、3の「営業所の場所」についてはそうはいきません。なぜなら、風俗営業の許可をしない地域(営業制限地域)というのが都道府県の条例で決められているからです。

※鳥取県の場合は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例」(鳥取県条例第30号)の第3条と別表1を見てください。

この営業制限地域というのは、都市計画法上の用途地域、営業所と保全対象施設との距離のふたつの要素で決まります。保全対象施設とは、学校や病院、児童福祉施設などの施設です。

これから許可を取ろうとする人に注意してほしいことは、お店を出そうとしている場所の近くに許可を得て営業している店があるからといって、許可が取れるとは限らないということです。

なぜなら、その店が許可申請した当時には、保全対象施設が無かったから許可が取れたからです。それ以後に保全対象施設が新たに出来ていたら許可を受けられません。

ですので、許可申請する際には、建設中のものも含めて保全対象施設が近くにできていないか充分調べる必要があります。

そして、該当する保全施設があったら、お店とその施設が条例で定められた距離内にあるかどうか距離を測らなければいけません。

また、許可が取れた後も気をつけておかなければならないことがあります。それは許可後に、近くに保全対象施設ができるかどうかということです。

もし営業制限地域内に保全対象施設が出来てしまうと、店を子供に相続させたり、他人に店舗を譲ったり、隣近所に新店舗を計画しても、許可が取れなくなって営業できないという事態になるからです。

ですので店舗の譲渡や新規出店に当たっては、十分確認を取ってから行動を起こしてください。

以下にこの2点について説明します。

1.用途地域

市区町村の地域内は、都市計画法によっていくつかの「用途地域」に分けられています。風俗営業第1号~8号営業の場合、営業所(お店)が、次の用途地域にある場合には、許可を受けられません。

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域
  • 準住居地域

保護対象施設というのは、学校、図書館、児童福祉施設、病院、診療所です。これらの保護対象施設が、営業所から一定の距離(条例に定められた距離)内にある場合は許可になりません。これについては、鳥取県の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の第1表をご覧ください。

鳥取県の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例

 

上記でも述べましたが、風俗営業の許可が受けられるかどうかは、まず営業所(お店)の所在地の用途地域と、条例で定められた距離内に保護対象施設があるかどうか調べなければいけません。

用途地域を調べるには、直接市区町村の都市計画担当の窓口に行って聞けばいいですし、地図もあり手に入ります。また鳥取市の場合、インターネットで用途地域を確認できるようになっています。

鳥取市都市計画情報提供サービス

しかし、保護対象施設の調査に関しては、1件1件見て回らなければいけません。これが結構大変です。また見落としたりしたら、せっかく申請しても許可が受けられなくなったり、賃貸契約をしていたお店の契約がふいになったり、お店でも建てていたら大きな損失を被ることになります。ですのでこの調査は慎重に行わなければいけません。間違いが許されないのです。

具体的には、ゼンリンの地図などを利用して、半径100m以内などの円を描き、それに基づいて1件1件見て回ることになります。地図がいくら最新のものでも、実際に見て回るときとは時間差がありますから、新たに保護対象施設が建っていた、あるいは建築中だったということもありえますのでなお注意が必要です。

なお、この営業制限地域について調査するのも、われわれ行政書士の仕事でもありますので、難しいと感じられたら、どうぞご相談下さい。