起業する人が一番頭を悩ますのが、「資金繰り」だと思います。

実際、創業融資を行っている日本政策金融公庫のシンクタンクのアンケート調査でも、開業時に苦労したことの第1位と、開業後に苦労していることの第2位が、「資金繰り」だそうです。

起業する人のほとんどが潤沢な資金で起業するわけではありませんし、思うように売上が上がらないとなると、いずれ資金がショートして最悪の場合には倒産ということになりかねません。

では、そうならないためにはどうすればいいかですが、昔から言われている経営の鉄則が現代でも通用します。

それは、「出ずるを制して入るを量る」ことです。簡単にいえば、出費を抑えて、いくらお金が入ってくるかを予測することですが、つまり収支のバランスを考えるということです。

 

会社の資金繰りを上手に回すには、「売上金を早く回収して支払いを遅らせる」ことが大切です。

会社経営に日々苦労されている経営者の方には、わかりきったことでしょうが、案外これが実行されていないというか、できないで苦労されているのではないでしょうか?

特に建設業などの業種は、仕事が入ってこない限り売り上げはゼロですし、工事を完成させるには何か月もかかったりします。

そのうえ完成しても支払いが翌月末であったり、手形決済であったりすると、その間の入金はゼロですから、大きな支払いがあると資金がショートしてしまうこともあります。

また往々にしてあるのが、売上を上げることばかりを重視して決済条件を妥協して仕事を取っていると、売上は伸びているのに仕入れ先や外注先への支払いが追い付かないということが出てきます。

仕事の受注は多いのに資金繰りが破たんして黒字倒産するのがこのパターンです。

ですので、取引先に言われるままの条件を呑むのではなく、

「回収は手形ではなく銀行振り込みの現金で、しかも回収期間はなるべく短く」ということを意識して契約しましょう。

 

では、具体的にはどんな方法を取ればいいのでしょうか?

1.「資金繰り表」を作成する。

現在から将来にわたっての現金の出入りを記入した「資金繰り表」を作成します。お金の出入りを見える化することが大切です。これによって資金がショートしそうな時期がわかり、それまでに対策を講じることができます。

2.対策を講じる。

資金繰り表で危険の兆候をつかんだら、早めに「出ずるを制して入るを量る」対策を講じます。

まず、出費を減らす対策として、

  • 不要不急な支出をしない。
  • 取引先に頼んで支払いの期間を延ばしてもらう。
  • 相見積りを取るなどして安く仕入れ出費を抑える。
  • 外注していたもので社内でできそうなものは自社で行う。
  • 業務を効率化して人件費を減らす。
  • 役員報酬を減らす。

次に収入を増やす対策として、

  • 営業活動に精を出して顧客や売上を増やす。
  • 売掛金の回収を早めて現金化する。
  • 銀行からの融資を受ける。
  • 経営者が会社に対して一時的にお金を貸す。
  • 不要な資産を売却する。
  • 親しい経営者や親族からお金を借りる。

以上は一例ですので、これらの他にも打つ手があれば早めに対策を講じることが肝心です。まず、出来るところから手をつけることをお勧めします。