許可までには時間がかかる

特殊車両通行許可の申請で覚悟しておかなければいけないことがあります。それは、申請すれば許可がすぐに下りるというわけではないということです。これは他の許可申請にも言えることですが、この許可の場合は特別です。

どういうことかというと、書類審査が終わってOKが出ても、都道府県や市町村などの道路管理者との個別協議がある場合、協議してその道路管理者からOKが出なければいけません。

この個別協議が必要なのは、市町村道など国土交通省が作成している道路情報便覧に収録されていない道路が経路に含まれている場合などです。

実はこの協議にかなり時間がかかります。道路管理者である自治体からすぐ回答が得られればいいのですが、自治体によっては回答が遅かったりします。回答までに1か月かかったなんてことはよくあることです。

回答を得なければならない自治体が多ければ多いほど、許可が下りるまでに時間がかかるというわけです。

また許可が下りるのに時間がかかる原因のひとつが、昨年から行われている窓口の集約化です。鳥取の場合、これまでは国土交通省鳥取国道事務所が窓口になっていましたが、鳥取県の申請は島根県の松江国道事務所が窓口となりました。

窓口が少なくなるとその分、ひとつの窓口で処理する申請件数が膨れ上がります。そのため、窓口が大変混雑して、たとえオンラインで申請しても、なかなか書類審査さえしてもらえないという状態になっているようです。

以上は一例ですが、たとえオンライン申請で便利になったとはいっても、最終的には人がチェックすることになりますので、個別協議がある場合などは、心しておくべきでしょう。

標準処理期間とは

許可申請者にとって一番気になるのは、いつ許可が下りるのかということだと思います。実はこれには目安があります。

「標準処理期間」といって、申請に対する処分をするまでに通常要する標準的な期間が定められているのです。具体的には、申請書記載の「受付日」から「許可日」までの間をいいます。

この標準処理期間を定めるに当たっては、以下の期間を参考とし、各道路管理者の申請窓口の実情に合わせて、出来る限り短い期間を設定するようにと国が各道路管理者に通達を出しています。

標準処理期間の基準について(通達)

1.標準処理期間
  • 新規申請及び変更申請  3週間以内
  • 更新申請        2週間以内

なお、この期間は、次の場合に適用することになっています。

  • 申請経路が道路情報便覧記載路線で完結している場合
  • 申請車両が超寸法車両及び超重量車両で無い場合
  • 申請後に申請内容(申請経路や諸元等)の変更が無い場合

※超寸法車両、超重量車両とは、特殊車両通行許可限度算定要領による許可限度寸法、重量を超える車両をいいます。

特殊車両通行許可限度算定要領とは、道路法第47条の2第1項の規定に基づき道路管理者が通行を許可することができる車両の寸法および重量を算定することを目的としてつくられたものです。

この算定要領に定められた寸法もしくは重量を超える車両については、通行する経路の状況に応じて個々に条件を付けなければいけませんので、審査に時間がかかるのです。そのため、標準処理期間を適用しないこととされているのです。

2.他の道路管理者への協議が必要な申請の取扱い

道路情報便覧記載路線以外の路線が含まれている場合等、他の道路管理者の協議が必要となる場合は、協議を受けた道路管理者は、速やかに審査を行い回答すること。

3.処理期間の明示

標準処理期間を定めた場合には、許可窓口への掲示、申請用手引き類への記載などにより、申請者に明示しておくこと。

4.その他

標準処理期間を定めた場合には、速やかに当職(國)あて報告すること。

以上のように、国から各道路管理者に対して標準処理期間を定めるよう通達が出ているので、各道路管理者は国が示した参考例を参考にして定めています。そして、それを明示していますので確認しておくべきでしょう。

しかし、この標準処理期間はあくまで目安であり、期間内に処理を完結すべき義務はないと国は但し書きで述べていますので、あくまで目安として捉えていた方がいいでしょう。

実際、申請経路に未収録路線が含まれている場合には、各道路管理者との個別協議が必要となりますので、標準処理期間では収まらない場合の方が多いと思います。

 

個別審査があると長引く

特殊車両通行許可のオンライン申請のメリットのひとつが、

・個別審査が無い場合には、大幅に審査期間が短縮されることです。

これは個別審査がなければ、システムにより

申請データの算定処理を行うことができるからです。どのくらいの期間でできるかというと、閉庁日を含まずに標準4日と言われています。

しかし、これを鵜呑みしてはいけません。窓口の国道事務所が申請が多くて混雑している場合には、4日というわけにはいきません。

申請しても、先に提出された申請の処理が終わらなければ審査をしてもらえません。これはどこの窓口でも同じです。

特に、昨年以来、窓口が集約されて、ひとつの窓口で扱う件数が大幅に増えたため、審査に遅れが生じているのが実情です。いくらシステムが算定するといっても、システムを操作するのは人がするからです。

では、個別審査とはどういう場合に行われるのかというと、以下のような場合です。

  • 車両の諸元が特殊車両通行許可限度算定要領の範囲外の場合
  • 申請経路が道路情報便覧に収録されていない道路を含む場合
  • システムによる算定の結果、個別に審査を要する障害箇所がある場合
  • 車両の構造や積載貨物が特殊であると判断できない場合

以上のような場合には、道路管理者による審査、協議が発生するため、標準で3週間の審査期間が必要となると言われています。しかし、これもあくまで標準であって、その内容や道路管理者の対応によって長くなる場合があります。

むしろ長くなると覚悟しておいた方がいいでしょう。