創業融資を受ける場合、日本政策金融公庫の融資と自治体の制度融資のどちらが良いのか迷う方もおられると思いますので、今回は制度融資のメリットとデメリットについて書きます。

制度融資のメリット

制度融資では、各地方自治体と金融機関、信用保証協会の三者が協力しあって中小企業者に融資します。制度融資には以下のようなメリットがあります。

☑金利が低い

制度融資は日本政策金融公庫の融資にくらべ一般的に金利が低く設定されています。

☑優遇措置がある

自治体によっては、利子補給や信用保証料の補助をしてくれるところがあります。利子補給を受けると金利が1%をきることもあります。公庫の金利が2%台であることを考えるとこれは大変有利といえます。

☑元本据置の猶予期間がある

元本据置期間中は、月々の支払いは金利の分のみでよく、元本を返済する必要がありません。これは、起業したばかで資金繰りが不安定な企業にとっては大きなメリットといえます。

以上が制度融資の主なメリットですが、一方、制度融資には次のようなデメリットがあります。

制度融資のデメリット

☑融資限度額が少ない

日本政策金融公庫融資と比較すると融資限度額が少ないです。公庫の融資限度額が自己資金の9倍までであるのに対して、制度融資の場合は、一般的に自己資金と同額までしか借りられません。

☑公庫に比べて対応が厳しい

制度融資は、地方自治体から委託を受けた民間の金融機関が融資を実行します。地方自治体から委託を受けているとはいえ、民間の金融機関は公庫より対応が厳しいです。これは、公庫が中小企業を支援するという国の政策を実行する金融機関であるからです。

☑信用保証協会の審査に時間がかかる

制度融資では、金融機関のほかに保証人である信用保証協会の審査も受けなければなりません。そのため公庫に比べて審査に時間がかかります。

保証協会の混み具合にもよりますが、平均すると早くても1か月、遅ければ2か月以上かかる場合があります。それに比べ、公庫なら申し込んで早ければ1週間から3週間で融資が実行されます。ですので、制度融資の場合は早めに申し込んでおくことが必要といえます。

制度融資を受けるための2つの条件

1.信用保証協会の対象業種であること

制度融資を利用するには、あなた、もしくは会社が信用保証協会の保証対象となる業種を営んでいることが必要です。

以下のような業種は対象とならないので注意してください。

  • 農業
  • 林業
  • 漁業
  • 水産養殖業
  • 風俗営業
  • 金融業
  • 遊興娯楽業
  • 興信所
  • 非営利法人(学校法人、宗教法人、NPO法人)
  • 有限責任事業組合(LLP)

なお、詳しくは最寄りの信用保証協会に確認してみてください。

2.中小企業者であること

制度融資を受けるための二つ目の条件として中小企業者であることが必要です。中小企業者とは、資本金・従業員の規模が、次の表の条件を満たしている者のことをいいます。

従業員数には、家族従業員や会社役員、臨時雇いのパートタイマーやアルバイトは含まれません。ただし、パートタイマーやアルバイトであっても、常雇いなど社員と同等に仕事をしている場合は従業員としてカウントします。また、個人事業主も中小企業者に含まれます。

中小企業者の定義

業種 資本金 従業員
製造業など 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
医療法人など 300人以下

3.許可が必要な場合がある

中小の建設事業者の方が資金を必要とする場合は、新規開業時、車両機械器具などの購入時、材料や下請代金の決済時や、運転資金の調達や、経営の立て直しや緊急災害時などさまざまだと思います。

市中の金融機関から融資を受けるのが困難な場合、利用しやすい融資制度としては次の3つでしょう。それぞれ参考になるサイトを見てください。

ここで知っておいていただきたいのは、公的融資を受ける場合、必ずといっていいほど建設業の許可取得が条件になっているということです。

融資を受ける前提としてやはり建設業許可は取っておかなければならないということです。