前回は個人事業のメリットを説明しました。個人事業の場合は、会社と違い手間とお金がかからず起業でき、開業後も会社とくらべ運営上の手続きなども簡単であるというメリットがあります。

では、株式会社のメリットとは何でしょうか?個人事業とくらべると以下のようなメリットが考えられます。

株式会社のメリット

1.組織が大きく利益も多い
これは説明するまでもありませんね。社長ひとりという株式会社もありますが、一般的には役員や従業員の数も個人事業にくらべ多く組織力があります。個人事業が家族の生計維持を目的としているのに比べ、利潤を追求する経営ですので利益も大きくなります。

2.社会的信用が高い
大企業などは取引先に個人事業者より株式会社を選ぶことが多いです。また、銀行との取引でも会社の方が信用されやすく融資も受けやすいといえます。求人の際にも会社の方が信用される傾向があります。

3.資金力がある
株式会社は、出資すれば配当がありますから、出資によって資金を調達できます。また、前にも書きましたが、金融機関からの融資も受けやすく資金を集めやすいといえます。

4.出資の範囲内で責任を負う
個人事業の場合は、事業主は取引相手や債権者に対して無限の責任を負います。会社の場合は、株主は出資の範囲内で責任を取れば済みますし、社員も責任には限度があります。


5.事業に継続性がある
個人事業の場合、事業主が亡くなると廃業することが多いですが、会社の場合は、代表取締役が亡くなっても役員変更すれば済みます。倒産しないかぎり会社は継続することができます。

6.税金面で有利
個人事業の場合、所得が高くなると税率も高くなりますが、会社(法人)の場合は税率は基本的に一定です。

青色申告して過去の赤字を繰り越せるのは、個人事業だと3年間だけですが、株式会社なら9年間繰り越せます。(平成29年4月以降に開始する事業年度からは10年間)

経営者の給料ですが、株式会社の経営者の場合は一定の条件を満たせば経費にすることができます。個人事業の場合は、経営者自身はできませんし、、家族従業員の給料については税務署に事前に届出なければ経費にできません。

株式会社の場合、必要経費の損金算入が個人事業に比べると計上しやすいです。例えば、売上に要した諸費用、役員報酬その他、従業員の給与、販売費及び一般管理費、借入金返済のための支払利息などです。

7.社会保険に加入できる
小規模な個人事業の場合、事業主は国民年金や国民健康保険に加入しますが、株式会社の経営者は、国民年金や国民健康保険よりも保障の厚い厚生年金や健康保険に加入することができます。

株式会社にすると個人事業に比べ以上のようなメリットがあると考えられます。大ざっぱにいえば、個人事業は手続きなどが簡単で済みますが、お金の面となると株式会社の方が有利といえるかもしれません。