許可申請について
申請先
特殊車両通行許可申請の窓口は、通行する道路の管理者です。国道なら国、県道なら県、市道なら市のそれぞれの管理事務所です。
しかし例えば、市道、県道、国道、高速道路など2以上の道路管理者の道路を通行する場合、どこに申請すればいいか疑問だと思いますが、すべてにする必要はありません。
一か所にすれば良いです。これを一括申請といいます。なぜなら審査の際に、国、県、市町村が連携して協議するからです。これを個別協議といいます。
ただし、高速道路や国道、市道でも政令市の市道でないと個別協議は行われません。ですので政令市ではない市道や町村道のみ通行する場合は、その市町村に直接申請することになります。
鳥取県内には政令市はありませんので、鳥取市、米子市、倉吉市、境港市の道路管理課に直接することになるのです。
一括申請について
特殊車両通行許可申請には一括申請というのがあります。
一括申請では、申請する通行経路が2以上の道路管理者の管理する道路にまたがる場合、そのうちの一つの道路管理者に申請を行えば他の道路管理者への申請は必要ありません。
つまり、2つ以上の道路管理者に申請するものを一括して申請することをいいます。
ただし、この場合、申請するいずれかの経路に申請窓口の道路管理者が管理している道路を含むものでなければ、申請は受理されません。
また、指定市以外の市及び区町村の窓口に一括申請することはできません。
例えば、国土交通省管理の国道と都道府県管理の一般県道と指定市が管理する市道を通る経路の場合、国土交通省、県、指定市の道路を管理している事務所のいずれかに申請すればよいということです。
ただし、市の場合指定市のみです。それ以外の市、区町村には申請できません。つまり指定市以外の市区町村が行う許可は、その市区町村が管理する道路に係るものに限られています。
また、通行経路に国土交通省の管理する一般国道を含む場合には、全国どこの国土交通省の申請窓口にも申請することが可能です。しかも、申請する事務所が管理する国道が通行経路に含まれていなくても構いません。
一括申請の場合は、以上のことに注意して申請する必要があります。
オンライン申請での申請先に注意
特殊車両通行許可のオンライン申請は、申請する経路に国道が含まれていなければ申請できません。オンライン申請は国が審査するものだからです。
しかし、国道でも都道府県が管理している道路があります。これもオンライン申請できません。管理者が都道府県だからです。つまり国が管理している国道が経路に含まれていないと、オンライン申請できないということです。
申請の種類
新規申請・更新申請・変更申請
許可申請は、新規に申請を行う場合と既に許可を受けている申請内容を変更する場合で以下のように分けられます。
1.新規申請
初めて申請を行う場合を「新規申請」といいます。
2.更新申請
既に許可を受けている申請のうち、「許可期間」のみを更新する場合をいいます。
この申請においては、新規申請時と同じ窓口に申請を行う場合、附属書類の提出を省略することができます。ただし、新規申請時と異なる窓口に申請するときは、新規申請時と同様の書類が必要となります。
3.変更申請
既に許可を受けている申請の内容を変更する場合をいいます。ただし、「許可期間」の変更のみの場合は、2の更新申請となります。
この申請においても、新規申請時と同じ窓口に申請を行う場合は、変更のない附属書類の提出を省略することができます。
ただし、新規申請時と異なる窓口に申請するときは、新規申請時と同様の書類が必要となります。
主な変更事項は以下のようなものをいいます。
- 車両を交換するとき(同一型式の車両である場合に限ります。)
- 会社名、代表者名等が替わるとき
- 通行経路を変更したいとき
- 車両台数を減らしたいとき
- トレーラを増車したいとき(ただし、包括申請の場合)
トラックまたはトラクタの増車は変更申請ではできません。この場合、増車する車両については新規申請となります。また、包括申請の場合でも、車両の種類と軸種が同一である場合に限ります。
普通申請と包括申請
特殊車両通行許可申請は、申請する車両の台数および軸種により「普通申請」と「包括申請」に分けられます。
普通申請
申請台数が1台の申請をいいます。単車と連結車では次のとおりです。
単車:トラック、建設機械等が1台
連結車:トラクタおよびトレーラ台数が各1台。ただし、トレーラの自動車検査証に記載されている組み合わせに限ります。
包括申請
複数の車両について、一つの許可申請書による申請を包括申請といいます。
包括申請の場合、車種、通行経路、積載貨物が同一でなければなりません。「車種が同一」とは、車両の種類および軸種が同じであることをいいます。
✅注意事項1
包括申請は、同じ種類の積載貨物を同じ車両形状で、かつほぼ同じ車両諸元で複数の車両で運搬する場合の申請手続きを効率的に行うためのものです。
例えば、次のような場合です。
- ISO規格海上コンテナを海上コンテナ用セミトレーラ連結車で運搬
- 揮発油等をバン型等(タンク型)のセミトレーラ連結車で運搬
したがって積載する貨物の種類や車両形状が同じであっても、極端に積載貨物の寸法・重量や車両諸元が異なる場合は、普通申請となります。
ただし、積載貨物の寸法においてのみ分割できないため一般的制限値を超える場合は、軸種を問わず包括的に申請することができます。これを複数軸種申請といいます。
包括申請の場合、許可審査の段階において、その申請車両が道路構造および交通に与える影響の最も大きい合成された車両によって審査されます。この車両のことを”合成車両”、合成車両の諸元を”合成値”といいます。
このため、ある車両または組み合わせの車両について不許可となる場合は、その申請に含まれている車両はすべて不許可となりますので注意する必要があります。
✅注意事項2
包括申請を行う場合には、軸種によって次の事項にも注意する必要があります。
軸種1種類の場合
- 車種が同じであること※1
- 積載貨物が同じであること※2
- 通行経路が同じであること
- 通行期間が同じであること
※1 車種が同じであるとは、車両の諸元に関する説明書01の「車種区分のコード表」の「車両の種類」と「軸種コード」が同じであることをいいます。
※2 積載貨物が同じであるとは、車両の諸元に関する説明書01裏面の「積載貨物物品名コード表」の品名が同じであることをいいます。
複数軸種の場合
複数軸種申請を行う場合は、積載貨物の寸法においてのみ分割することができない場合です。重量が一般的制限値を超える場合は、複数軸種の包括申請はできません。
- 車種が同じであること※3
- 通行区分が同じであること
- 事業区分が同じであること
- 積載貨物が同じであること※4
- 車種区分の車両分類は、全て「一般」であること
- 通行経路が同じであること
- 通行期間が同じであること
※3 車両の諸元に関する説明書01の「車種区分のコード表」の「車両の種類」が同じであることをいいます。
※4 車両の諸元に関する説明書01裏面の「積載貨物品名コード表」の品名が同じであることをいいます。
上記の条件に適合する場合には、車両の諸元に関する説明書01の「車種区分のコード表」の「軸種コード」が異なっても一つの申請とすることができます。
片道申請と往復申請
特殊車両通行許可申請は、申請経路の通行形態によって片道申請と往復申請に分けられます。
片道申請
往路(または復路)のみ特殊車両として通行する場合に行う申請をいいます。
往復申請
往路、復路とも特殊車両として通行する場合に行う申請をいいます。
✅注意!
往路で積載物を積載し、復路は空車となる場合は次のことに注意する必要があります。
・往復申請とする場合
一つの申請となります。ただし、厳しい通行条件が復路にも適用されます。この場合は、往路の条件が適用されます。
・片道ごとの申請とする場合
二つの申請が必要です。積載状態に合った通行条件となります。この場合は、復路では空車時の条件となります。
許可申請手数料について
特殊車両通行許可を受ける際には、申請した行政庁に対して手数料を支払わなければなりません。国道事務所なら国、県道事務所なら県です。
しかし手数料がかからない場合があります。それはひとつの行政庁の道路だけを通行した場合です。つまり高速道路と国道だけ、県道だけ、市道だけ通行した場合です。複数の行政庁が関与しない場合です。
手数料については、コチラの資料の61、62ページを参照してください。
許可申請と車検証
特殊車両通行許可申請の書類を作成する際に準備しなければならない資料として自動車検査証があります。
自動車検査証は、道路運送車両法および国土交通省令で規定されている書類で車両を登録する際に交付されます。自動車検査証には、特殊車両通行許可申請に必要な以下の情報が記載されています。
また、自動車検査証には最大積載量や道路運送車両の保安基準の緩和事項等も記載されていますので、これらの値を超えた申請とならないよう注意します。
自動車検査証の項目
車検証記載項目 | 関連申請書類 | 備考 |
自動車登録番号・車名・型式 | 特殊車両通行許可申請書 | 代表1台分のみ |
車両諸元に関する説明書(様式) | 代表1台分のみ | |
トラック・トラクタ内訳書 | 包括申請の場合のみ | |
トレーラ内訳書 | 包括申請かつ連結車の場合のみ | |
乗車定員 | 車両諸元に関する説明書(様式02) | トラックまたはトラクタかつ普通申請の場合のみ |
車両諸元に関する説明書(様式03) | トラックまたはトラクタかつ包括申請の場合のみ | |
車両重量 | 車両諸元に関する説明書(様式02) | 普通申請の場合 |
車両諸元に関する説明書(様式03) | 包括申請の場合 | |
長さ・幅・高さ | 特殊車両通行許可申請書 | 貨物を積載した状態の寸法かつ連結車の場合は連結した状態。
また、包括申請の場合は寸法が最も大きくなる状態 |
車両諸元に関する説明書(様式02) | 貨物を積載した状態の寸法かつ連結車の場合は連結した状態 | |
車両諸元に関する説明書(様式03) | 貨物を積載した状態 | |
前前軸重・前後軸重・後前軸重・後後軸重 | 車両諸元に関する説明書(様式02) | 普通申請の場合 |
車両諸元に関する説明書(様式05) | 包括申請の場合 | |
車両諸元に関する説明書(様式06) | 包括申請の場合 |