役員に準ずる者とは

経営業務の管理責任者については、建設業法第7条第1号に次のように規定されています。

第七条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。

 法人である場合においてはその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。以下同じ。)のうち常勤であるものの一人が、個人である場合においてはその者又はその支配人のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。

 許可を受けようとする建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
 国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者
この中で、建設業法が改正となり、平成28年6月1日から施行されたのが「法人である場合においてはその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。以下同じ。)」の「役員」の範囲です。
この( )書きにあるとおり、これまで役員とは、
  • 業務を執行する社員(持分会社)
  • 取締役(株式会社、有限会社)
  • 執行役(指名委員会等設置会社)
  • これらに準ずる者(法人格のある各種の組合等の理事)

でしたが、「これらに準ずる者」の中に、このたび

取締役や執行役、業務を執行する社員に準ずる地位にあって、許可を受けようとする建設業の経営業務の執行に関し、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限移譲を受けた執行役員等

が加えられたということです。つまり役員の範囲が広がったというわけです。

そして、この職務経験を確認する書類も、これまでは「請負契約の締結等経営業務に関する決裁書等」でしたが、これに代えて、 「取締役会の議事録や人事発令書等」とすることになりました。

執行役員等がなれるのか

経営業務の管理責任者としての経験等を有する者の配置が求められる「役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者)」に、以下の者が追加されました。

それは、

業務を執行する社員、取締役又は執行役に準ずる地位にあって、許可を受けよようとする建設業の経営業務の執行に関し、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限移譲を受けた執行役員等

なのですが、この執行役員等が付け加えられたのは、現在、企業ごとの取締役の人数が減少し、執行役員制度が導入されてきているなど企業における業務執行の方法に変化が生じていることが背景としてあります。

しかしながら、執行役員等であれば誰でも経営業務の管理責任者になれるかというとそうではありません。

やはり、次のような要件を満たしている必要があります。

許可を受けようとする個々の業種区分の建設業について、それぞれの建設業に関する事業部門全般の業務執行に係る権限委譲を受けていること。

これは具体的にどういうことかというと、

許可を受けようとする建設業に関する事業の一部のみ分掌する事業部門、例えば、一部の営業分野のみを分掌する場合や資金・資材調達のみを分掌するなどの業務執行にに係る権限委譲を受けた執行役員等は、経営業務管理責任者として認められないということです。

つまり、あくまでその建設業に関する事業全般についての権限を与えられた人でないと資格がないということなので、注意しなければなりません。